原子力発電とは、火力や太陽光とは異なり、原子力をエネルギーにしている発電方法です。
19世紀末に放射線が発見され、その後の研究によって世界初の発電を開始したのが1951年でした。
米国のアイダホ州で行われたと伝えられています。
1954年に当時のソビエト連邦で原子力発電所の発電が開始されました。
原子力発電の歴史
日本では1955年に原子力に関連する法律、原子力基本法が成立し、平和の目的のみに利用すると定められています。
日本国内で発電所が誕生するのは1960年代ですが、1956年に英国で商用発電所が稼働しました。
日本発の発電所が誕生したのは1966年、東海発電所が最初です。
その後日本国内でも複数の発電所が誕生しているのは事実です。
1969年には原子力船が浸水するなど、新たなエネルギーとして様々な利用をされてきました。
その後も日本国内で多くの発電所が建設され、最も多い時で54基の発電所が存在しています。
しかし老朽化などをはじめ、2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島第一発電所の事故に伴い、長期稼働している発電所に関して見直しを進めるようになり、老朽化していたいくつかの発電所が廃炉となりました。
2015年の時点では老朽化し、廃炉となった発電所を除き、42基の発電所が稼働しています。
2021年運用中なのは33基で、それ以外稼働していたところは廃炉あるいは解体することになっているのが実情です。
原子力と火力はそれぞれ蒸気タービンを使った発電
原子力と火力はそれぞれ蒸気タービンを使った発電であり、使用する燃料が違うのが大きな違いといえます。
火力の場合石炭や石油・ガスなどを使って電気を作っており、対して原子力の場合は原子炉の中で燃料を核分裂させて、その時に発生する熱エネルギーを使って発電をする仕組みです。
石炭や石油・ガスなどを燃焼させて熱エネルギーを発生させ、電気を作るのは火力ですが、原子力の場合、火を使いません。
原子力では核分裂を使って熱エネルギーを発生させて電気を作るのが特徴です。
原子力が大きな熱エネルギーを発生させる方法として、核分裂・核融合があります。
核分裂は原子核が分裂してエネルギーを発生させることですが、核融合は複数の原子核が一緒になることです。
燃料の中に核分裂しやすいウランが含まれており、分裂によって熱エネルギーを発生させるものとして合成された燃料を使用しています。
アトックスに聞く!原子力発電を行うメリット
原子力発電を行うメリットとなるのは、火力発電などのように二酸化炭素・有毒ガスを発生しないことです。
一時期環境汚染について非常に問題視された時代がありました。
クリーンエネルギーの一環として原子力を優先的に利用しようという運動が一部であったことも、事実です。
また、燃料の費用に対して発電するコストが高い為、発電する能力を高めてコストを抑えたいと考えたい場合に有効といわれています。
燃料になるウランに関しては現在のところ安定した輸入を行える物質として、認識されているのも特徴です。
長期的に安全な稼働を行う事で、発電所のある地域での技術力が高いとアピールすることが可能となります。
また、技術力のある国の物ならと、海外へノウハウを輸出することができるため、海外の国に対して日本国内で新たな技術を提供することができるでしょう。
地域によっては軍事面での緊張が懸念されている為、保有していることで軍事力があることを周辺各国にアピールすることが可能となり、海外から軍事的な侵略を防ぐ働きを期待されている場合もあります。
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原子力発電のデメリットについて
対してデメリットとはどんな部分にあるのでしょうか。
最も大きなデメリットは事故に遭った場合のリスクが高すぎることです。
事故に遭った場合その周辺の自然環境をも含めて、数十年、数百年規模の対策が必要となります。
他にも、原料のウランがいつまで手に入るかわからないことも懸念材料です。
いつか枯渇する可能性がある成分として知られている為、利用するうえで慎重な判断が望まれているという人も少なくありません。
更に放射線廃棄物として知られる、発電所で利用した燃料の残りかすをどのように使ったらいいのか、未だに日本国内では論争が紛糾しています。
処理方法に関して賛否両論が存在し、明確な処理方法が明らかになっていないのがトラブルの原因です。
適切な処理を行う事で問題は解決できるとされています。
技術力としては再処理の方法として再加熱をする方法や、埋設する方法などが提案されていますが、どの提案に対しても問題点が懸念されている為、具体的な処理方法が明確になっていないのは事実です。
今後の課題と考える人もいます。
まとめ
今後停止している原発の再稼働についても、安全に対して懸念する人が多く、反対派が原発の前でデモを行うような激しい衝突が懸念されている為、慎重な判断を必要とすることは事実です。
しかし、エネルギー問題で電力が足りない地域に対しては、再稼働を認めなければならないという意見もあります。
どちらの意見にも人々の生活が懸かっている為、何が一番住む人にとって必要となるのかを明確にし、適切な対応を行わなければならないという意見が一般的です。